最高裁判決「婚外子の相続分差別規定は違憲」
2013年9月6日執筆
嫡出子と非嫡出子(婚外子)の間で相続分を区別する法の規定は、憲法に違反するか否かが争われていた裁判で、一昨日、最高裁は、違憲とする判断を下しました。
嫡出子とは、婚姻している夫婦の間に生まれた子供のことをいいます。
他方で、非嫡出子とは、婚姻していない夫婦との間に生まれた子のことをいいます。
亡くなった方に嫡出子と非嫡出子がいる場合について、民法900条4号は、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1、と定めています。
例えば、亡くなった方の相続人として、A、B2人の子がいたとします。
AもBも嫡出子の場合、二人の相続分は、平等なので、2人とも2分の1ずつの相続分を有します。
ところが、Bが非嫡出子だった場合、Bの相続分はAの相続分の半分になります。
つまり、Aの相続分は3分の2、Bの相続分は3分の1、となります。
民法がこのような取り扱いをする理由(立法趣旨)は、夫婦の婚姻(法律婚)を促して家族関係の安定化を図る、というものです。
この取り扱いに対しては、昔から、不合理な差別であるとして、憲法に違反するという根強い批判がありました。
最高裁は、平成7年にこの規定は合憲である、との判断を示し、以後、その立場を貫いてきましたが、一昨日、最高裁は立場を変え、憲法に違反するとの判断を初めて示しました。
最高裁判例が出されてから一夜明けてからネット等を見ていると、最高裁の立場に同調する意見もある一方、これに反対する意見もあるなど、大きく賛否が分かれているようです。
この最高裁判例の当否に関し、個人的な意見に言及することは敢えて避けたいと思いますが、少なくとも、この最高裁判例が家族制度の崩壊を招くことになるとの反対意見がある以上は、今後10年先20年先の日本社会がどうなっていくのか、注視していく必要があると感じています。