遺言書の作り方~自筆証書遺言の場合~

遺言書(法律的には、「いごんしょ」と読みます)には、大きく分けて3つの方式があります。

  • ①自筆証書遺言
  • ②公正証書遺言
  • ③秘密証書遺言

①の自筆証書遺言とは、自分一人で作る遺言書のことをいいます。対して、②と③は公証役場に関与してもらって作成するものです。
③は手続が非常に面倒であまり用いられず、実務上よく用いられるのは①の自筆証書と②の公正証書です。

今回は、①の自筆証書遺言の作り方について簡単に説明します。

1.必要なもの

まず、用意するものは、紙と、ペンと、印鑑と、封筒です。
紙は、どんな紙でも構いません。 
極端な話、チラシの裏とかでも問題はありませんが、大事な書面ですので、便箋か、白紙の紙をご用意頂くのがよいでしょう。

2.資産の書き出し

自分の現在の資産の内容と、その資産を誰に相続させるのかを、具体的に明らかにする。
例えば、預貯金であれば、金融機関名、支店名、口座番号により具体的に特定します。不動産であれば、登記簿の記載を参考に、所在、地番、地目、地積等を具体的に特定します。
株式や保険についても、証券などを参考に、可能な限り具体的に(誰が見ても分かるように)特定します。

なお、遺言書の文例については書店でも色々な書籍が売っているので、これらを参考にしながら作ることも可能です。
もっとも、弁護士に依頼いただければ、弁護士が全て文案を作成します。弁護士に相談してアドバイスを受けながらご自身で作成頂く、という方法も可能です。

3.遺言書の作成

日付と、名前を書いて、押印してください。
日付や署名のない遺言書は、無効となってしまいます。
印鑑は認め印でも構いません。

4.遺言書は自筆が必須

一番大事なことですが、自筆証書遺言は、必ず、全文自筆で書いてください。
誰かに代筆をしてもらうことはできません。
また、パソコンやワープロで作成することもできません。

5.訂正方法

訂正する場合は独特の方法で訂正をしなければなりません。
誤字・脱字等があった場合、初めから書き直すのが間違いのない方法です。

6.遺言書の封印

書き終わった遺言書は、封筒に入れて封印して下さい。
封印は必ずしも必要というわけではありませんが、偽造等の危険性がありますので、封印をしておくことをお勧めします。
なお、封印してしまうまえに、内容を一度弁護士に見せて、問題がないかチェックを受けることを強くお勧めします。

7.遺言書の保管

最後に、遺言書を信頼できる人に預けて、保管を依頼します。
なお、封印してある遺言書は、勝手に開封してはだめで、裁判所で開封してもらう必要があります。
保管を依頼する際には、「封を開けずに裁判所にそのまま持っていくように」ということも併せて伝えておく必要があるでしょう。
また、遺言書を預けることができる信頼できる知人がいない、ということであれば、弁護士に保管を依頼することもできます。

以上。

自筆証書遺言の書き方、注意点は大体こんな感じですが、下線を引かせていただいたように、弁護士に依頼されるのがより確実である、という点がいくつもあります。
相談料だけならさほど高額ではないので、予想外のことで遺言書が無効になる、ということのないように、ご相談だけでもお越しいただくことをお勧めします。

【参考】遺言書作成相談の流れ

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