月の所有権は誰にあるのか?
2013年9月12日執筆
もうすぐ十五夜ですね。
今年の十五夜は、9月19日のようです。
私はこの時期にマクドナルドで発売される月見バーガーがそれなりに好きなので、気が向いたときに食べることがあります。
人類が初めて月面に降り立ったのが1969年です。
太古の昔からすると、月は人類にとってずいぶん身近になりましたね。
ところで、人類の誰かが、月を所有することはできるのでしょうか?
この点について、条約に定めがあります。
アポロ11号が月面着陸をする2年前の1967年に発効した「宇宙条約」という条約があるのですが、その2条は、「天体を含む宇宙空間に対しては、いずれの国家も領有権を主張することはできない」と規定しています。
つまり、月などの天体や、宇宙空間を、地球上のどこかの国が領土として所有することはできない、とされています。
ところが、この条約が対象としているのは、「国家」のみです。個人の所有に関しては、この条約は規定していません。
個人の所有を禁止している条約としては、月協定(月その他の天体における国家活動を律する協定)というものがあります。
この条約は、11条において、「月はいずれの国家の専有にもならない。月の表面や地下、天然資源は、いかなる国家・機関・団体・個人にも所有されない。」と規定しています。
この条約によると、月は国家だけでなく、いずれの個人も所有することはできない、ということになっています。
ただ、この条約は締結している国が少なく、締結していない国に対しては効力が及びません。
この点の不備をついて、アメリカには、月の土地を売却している業者があります。
この業者は、お金を払った者に対して、権利証や証書を渡して、月の所有権があることを証明するようです。
もっとも、この業者から月の土地の一部を購入した方が、月の土地の所有権を主張することができるかどうかについては、法律的には難しいものがあると思います。
法律では、物を所有するためは占有(直接の支配)が必要とされており、占有のない物を所有することは予定されていません。
月を実際に占有(支配)していない売主から、占有の移転なしに所有権を取得することは、法律の予定するところではなく、証書を発行しただけで所有権を取得できる、ということにはならないと思われます。
少なくとも、第三者に対して所有権を主張できることにはなりません。
いずれにしても、現時点では月の所有というのはあまり現実的ではないため、このあたりのことは法律的にきちんと整備されていないという現状にあります。
しかし、地球外の天体が身近になりつつある時代ですので、今後このあたりの法整備も急速に進んでいくのかも知れません。