交通事故事例 足の後遺症の場合
交通事故による下肢(足)の怪我
自動車同士の追突の際に、ダッシュボードに足をぶつけることがよくあります。最初は大したことがないと思っていても、後から痛みが酷くなったり、機能障害が残ってしまうことも少なくありません。また、自動車同士の正面衝突の際には、足に重篤な怪我をしてしまうことが多いです。一言で足の怪我と言っても、その程度や種類には大きな差があります。そのため、後遺症認定についても、かなり細分化されています。
下肢(足)の後遺症認定と慰謝料相場
足や足指の欠損の場合には、どの部分から欠損したのかによって、後遺症認定の等級が変わります。
機能障害については、関節の可動域(伸展・屈曲)制限によって判断されますが、肩や鎖骨の怪我の場合と同様に、治療・リハビリが終わるまでは可動域制限に気付かないことも多いです。怪我が治ったと思ったら足の指の関節が曲がらないなどの症状が残ることがあります。
また、骨折によって変形や長さが短くなってしまうということもあります。骨折によって痛みなどの神経症状が残った場合には、以下の基準に該当しなくても、12級や14級に認定される場合もあります。
怪我は治ったように見えるものの、痛みが残っているとか、歩きにくくなったという症状が残った場合、我慢して泣き寝入りにならないように、すぐに弁護士に相談して下さい。
支払われる後遺障害慰謝料も、自賠責保険基準と弁護士が交渉に入った場合(=裁判所基準)とでは、以下のように金額に大きな違いが生じ得ます。自賠責保険基準と裁判所基準の違いについては、こちらへ詳しく記載しています。
〇下肢の欠損障害
等級 |
症状 |
自賠責基準 |
裁判所基準 |
1級5号 |
両下肢をひざ関節以上で失ったもの |
1,100万円 | 2,800万円 |
2級4号 |
両下肢を足関節以上で失ったもの |
958万円 | 2,370万円 |
4級5号 |
1下肢をひざ関節以上で失ったもの |
712万円 | 1,670万円 |
4級7号 |
両足をリスフラン関節以上で失ったもの | 同上 | 同上 |
5級5号 |
1下肢を足関節以上で失ったもの |
599万円 | 1,400万円 |
7級8号 |
1足をリスフラン関節以上で失ったもの |
409万円 | 1,000万円 |
〇下肢の機能障害
等級 |
症状 |
自賠責基準 | 裁判所基準 |
1級6号 |
両下肢の用を全廃したもの |
1,100万円 | 2,800万円 |
5級7号 |
1下肢の用を全廃したもの |
599万円 | 1,400万円 |
6級7号 |
1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
498万円 | 1,180万円 |
8級7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | 324万円 | 830万円 |
10級11号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
187万円 | 550万円 |
12級7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
93万円 | 290万円 |
〇下肢の変形障害
等級 |
症状 |
自賠責基準 |
裁判所基準 |
7級10号 |
1肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
409万円 |
1,000万円 |
8級9号 |
1下肢に偽関節を残すもの |
324万円 |
830万円 |
12級8号 |
長管骨に変形を残すもの |
93万円 |
290万円 |
〇下肢の短縮障害
等級 |
症状 |
自賠責基準 |
裁判所基準 |
8級5号 |
1下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
324万円 |
830万円 |
10級8号 |
1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
187万円 |
550万円 |
13級8号 |
1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
57万円 |
180万円 |
〇足指の欠損障害
等級 |
症状 |
自賠責基準 |
裁判所基準 |
5級8号 |
両足の足指の全部を失ったもの |
599万円 |
1,400万円 |
8級10号 |
1足の足指の全部を失ったもの |
324万円 |
830万円 |
9級14号 |
1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの |
245万円 |
690万円 |
10級9号 |
1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの |
187万円 |
550万円 |
12級11号 |
1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの |
93万円 |
290万円 |
13級9号 |
1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの |
57万円 |
180万円 |
〇足指の機能障害
等級 |
症状 |
自賠責基準 |
裁判所基準 |
7級11号 |
両足の足指の全部の用を廃したもの |
409万円 | 1,000万円 |
9級15号 |
1足の足指の全部の用を廃したもの |
245万円 | 690万円 |
11級9号 |
1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの |
135万円 | 420万円 |
12級12号 |
1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの |
93万円 | 290万円 |
13級10号 |
1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
57万円 | 180万円 |
14級8号 |
1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
32万円 | 110万円 |
事例
後遺障害の認定を受けた場合でも、保険会社の提示する提示額と弁護士が交渉に入った場合では、以下の例のように金額に大きな違いが生じ得ます。
自転車で横断歩道(信号なし)を横断中、直進してきた自動車と接触し転倒。脛骨近位端骨折等で手術、入院(約4ヶ月)。膝関節の可動域が2分の1以下になったことにより、後遺症認定10級11号(1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの)となった30代(男性)事務職、年収約450万円、通院期間約10ヶ月、休業6ヶ月の例。
任意保険提示額 |
裁判所基準 |
||
通院慰謝料 |
約120万円 | → 136万円アップ |
約256万円 |
後遺障害慰謝料 |
約187万円 | → 363万円アップ |
約550万円 |
後遺障害逸失利益 |
約461万円 | → 1,439万円アップ |
約1,900万円 |
休業損害 |
約103万円 | → 147万円アップ |
約250万円 |
合計 |
約871万円 | → 計2,085万円アップ |
約2,956万円 |
保険会社からの提示額に少しでも疑問を感じたら、是非一度、弁護士へご相談下さい。