生活保護受給に関する正しい知識

職を失うなどして収入がなくなり、どうしても生活していくことができないという場合に利用できる制度として、生活保護制度があります。

生活保護は、基本的には受給を希望する人が申請をすることで開始されることになるのですが、申請のために市役所の窓口に行っても、職員から正しくない説明をされて、結局、申請を受け付けてもらえないということが結構あります。生活保護に関して誤解されることが多い点について、お話したいと思います。

1. 働いていたら生活保護を受けられない?

仕事をして収入を得ていたら生活保護を受けられない、と誤解されている方がおられますが、これは間違いです。生活保護は、その家族が最低必要とされる生活費(最低生活費)を下回る収入しか得られない場合、受けることができます。

家族の最低生活費がいくらか、という点については、地域、家族構成、年齢等によって変わってきますが、河内長野市の場合、夫婦と未成年の子供2人の標準的な4人家族でおよそ22万円程度になります。働いて収入を得ていたとしても、この最低生活費に満たなければ、差額について生活保護を受給することができます。例えば、上記家族で夫が失業中、妻がパートで5万円の収入を得ている、という場合、差額の約17万円を受給することができます。

2. 65歳になるまでは生活保護を受けられない?

よく役所で申請を受け付けてもらえない理由として、「あなたはまだ働ける年齢だから、働きなさい。生活保護は、働ける人は受けられない」という説明がなされることがありますが、これは間違いです。

生活保護は、働く意欲があっても働くことができない場合、例えば就職活動をしているが就職口が見つからない場合にも受けることができます。病気のために働くことができない人についても、そのことを医者に証明してもらえば生活保護を受けることができます。

3. 持ち家を持っていたら生活保護を受けられない?

持ち家を持っている人が生活保護申請に行った場合、「持ち家があると生活保護が受けられない」、として家を処分してから生活保護申請をするように窓口で説明されることがありますが、これも間違いです。

生活保護は、高価な財産を持ったまま受けることはできませんが、持ち家については例外で、よほどの高価でない限り、持ち家を維持したまま生活保護を受けることができます。「よほどの高価な場合」とは、その地域の標準3人世帯の最低生活費10年分を上回る場合とされており、例えば奈良県では2500万円を上回るような場合をいいます。

4. 窓口で申請書を出してもらえないと申請できない?

生活保護を受けたくて窓口に行ったが、いくら頑張っても申請書を出してもらえない、という場合もあります。しかし、生活保護申請は、窓口で用意された書式を使う必要は全くなく、自分で用意した保護申請書を窓口に提出するだけで申請することができます。仮に窓口の人が、「定型の申請書しか受け付けない」などと言って受け取ってくれない場合、持参した申請書を窓口に置いて、写真撮影をしておけばいいです。

ちなみに、生活保護申請書に書くことは、①「生活保護申請書」の表題、②宛先(○○市福祉事務所)、③自分の住所、氏名、生年月日を書いた上で、「生活が苦しいので生活保護を申請します」程度の文を書いておけば結構です。

5. 借金があると生活保護は受けられない?

いいえ。生活保護と借金の有無は無関係であり、借金があるから生活保護を受けられない、ということはありません。

ただし、福祉事務所から支給される保護費は、生活を維持するためのものですので、基本的に借金の支払いに充てることは予定されていません。ですので、生活保護の申請と同時に、弁護士に借金の整理の依頼をするとよいでしょう。

生活保護を受けている人は、借金の額が比較的少額であっても破産が認められやすい傾向がありますし、弁護士費用等についても、法テラスで援助してもらえる場合がほとんどですので、負担もありません。

6. 所持金があるとダメ?

生活保護の申請に福祉事務所に行った際、「所持金があると生活保護は受けられないから、所持金がなくなってから申請に来なさい」と言われることもあります。しかし、これは間違いです。

生活保護を受ける場合、まとまった金銭を持つことはできませんが、概ね、最低生活費の2分の1程度の現金・預金については、保有することが認められています。

生活保護は、申請をしてから実際に受給ができるまで通常最短でも14日(2週間)必要であることから、それまでの生活費に充てるため、半月(2週間)分の生活費に相当する現金・預金については、所持が認められているのです。

河内長野市では、夫婦と子2人の標準世帯の最低生活費は約20万円程度ですので、大体10万円ほどは所持したまま生活保護を受けることができます。

7. 家賃が高すぎると受けられない?

これも間違いです。家賃の額がいくらであっても、生活保護は受けられます。

ただ、家賃分として支給される生活保護費には上限があり、河内長野市では42,000円となっています。したがって、42,000円を超える家賃の場合には、他の生活費等を削って差額を捻出しなければなりませんので、42,000円以下の住居に引っ越した方が生活は楽になります。

引っ越し費用や、新しく借りる家に支払う敷金・礼金等についても、上限はありますが、生活保護費から支給してもらうことができます。ただし、引っ越しを実際に行う前に、引っ越し業者や新しく借りる家の見積書を取って、必ず事前に福祉事務所に相談してください。

8. 家賃扶助はいつから支給される?

生活保護を申請する際に気を付けていただきたいのは、いつ申請するかということで、受け取れる金額に大きな違いが生じる、ということです。特に、月が変わってしまうと金額が大きく変わってしまう場合があります。家賃扶助がいつの分から支給されるかが全く変わってくるからです。 

例えば、11月末支払分の家賃が未払いだったとします。その状態で、11月30日に生活保護申請をした場合、11月分の未払い家賃全額が保護費から支払われます。しかし、同じケースで、申請が12月1日になった場合、家賃扶助は12月分しか支給されないことになり、11月分の未払い家賃は自己負担ということになります。

このように、1日申請が遅れただけで受け取れる金額が大きく異なるのです。保護申請が月末の微妙な時期になりそうなときは、この点を特に注意してください。

また、月内に申請したとしても、既にその月の家賃を支払っている場合には、当然、その月の家賃扶助は出ません。ですので、生活保護の申請をすることになる方は、家賃を支払ってから申請するか、家賃を支払う前に申請するか、よく考える必要があります。

以上、生活保護に関して誤解されていることが多い点について解説しました。

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